|  葛飾区郷土と天文の博物館といえば、以前にも紹介いたしました通り葛飾区の歴史とプラネタリウムを備えた博物館です。
 そこで2016年11月3日より2017年1月9日まで「セルロイドの町 かつしか」という特別展が開催されています。その特別展に先日産業文化研究会のメンバー約十名が観覧に出かけました。今回は特別展の見どころを紹介することといたします。
 
 葛飾と言えば柴又の車寅次郎、亀有の両津勘吉のように直線的で憎めない人物を思い浮かべることが出来ます。もちろんあのような姿が葛飾の総てではありません。葛飾は南葛魂の言葉があるように団結力が強く、不正腐敗を嫌い、権力者に媚びず、弱者を助ける精神を持った人が多くいます。また伝統を守りながらも新しいものが好きです。
 そのような気風が最新の産業であったセルロイドを受け入れたために葛飾一帯、特に四ツ木、立石などに数多くのセルロイド加工業者、特に玩具業者が生まれました。今回の展覧会は業者の目を通した形で紹介されています。
 モンチッチで有名なセキグチはかつてセルロイド人形のメーカーでした。今回の見どころの一つとして「セキグチドールハウス」に収蔵されていました人形約200体が展覧されています。この場所では誰もが足を止めて感嘆の声を上げています。知っている人には懐かしく、知らない人には新鮮に感じられるのです。
 人形などのセルロイド製品を作るためには金型が必要です。今回、博物館のドームを模した人形を作るために金型を製作したのですが、おそらくそれが最後のセルロイド金型になることでしょう。金型を作るためには数多くの工程が必要で独自のテクニックもあります。まさに職人芸です。それが今後失われていくことが無いようにしたいものです。
 
 もちろんセルロイドハウス横浜館も全面的に協力いたしまして数多くの所蔵品を貸し出しております。横浜館から貸し出しているとの表示がありますのでお目にとめていただきたいものです。
 
 常設展も見どころでして中でも昭和三十年代のボルト・ナット工場と住居とを再現した場所は誰もが足を止める場所です。葛飾は決して豊かな場所ではありません。しかし先に書きましたように南葛魂を持っていますので皆で助け合って暮らしていく共助の精神がありました。そのためどこよりも幸せな日常があったことを感じさせる展示となっています。
 
 この他にも埴輪時代、葛西城の展示、相次ぐ水害を克服していく様子など見どころ一杯の博物館ですので、会期中にぜひ足を運んでいただきたいものです。
 
 途中で展示替えがあります。またセルロイドの主原料でありました綿花を綿と種に分ける綿くり、講演会、トークショー、人形の色つけ体験などもありますので一度と言わず、二度三度と訪れていただきたいものです。
 
 
 葛飾区郷土と天文の博物館の住所等は以下の通りです。
 
 125-0063
 東京都葛飾区白鳥3-25-3
 03-3838-1101
 
 京成本線お花茶屋下車徒歩8分
 
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