三光丸本舗再訪記


 去る2014年2月13日、三光丸本舗を岩井館長、平井東幸先生、大井専務理事、三木理事、松尾副館長の五名が訪問しました。サロンの38と111にも書いていますように平井先生の他は訪れたことがあります。また40と48は館長の浅見さんの筆によるものです。興味のある方は、そちらの方にも目を通してください。今回は再訪記とさせていただきます。
 白澤という言葉を御存知でしょうか。「しらさわ」ではありません。「はくたく」です。白澤とは中国の伝説上の霊獣で湖西省、東望山の沢に住んでいると言われ徳の高い王が統治している時にだけ姿を現したと伝えられています。その姿というのは牛のような体に人の顔。顔には三つ、胴の左右には三つずつ、合計九つの目を持ち、額に二本、胴に四本の角を持ち、山羊のような顎鬚をたくわえていると伝えられています。
 今では知る人ぞ知るという存在になっていますが安政年間にコレラが流行した折には図を枕元に置いて病気平癒を願ったと言います。また旅に出る時にはお守りとして持参しました。
 それというのも白澤は中国の伝説の王である黄帝が巡幸した折に現れて11,520種類にも及ぶ妖怪鬼神について語り、その害を取り除く方法を教えたと言います。黄帝は王であるとともに中国医学の祖として尊敬を集めています。
 三光丸本舗には白澤の像も黄帝の像もあります。そして薬屋が忘れてはいけない神農もいます。黄帝と神農は名前ぐらいは聞いたことがあっても姿は見たことが無いでしょう。総てが揃う場所は貴重な存在です。
 三光丸は以前にも書きましたように後醍醐天皇も口にしたというほど古い薬です。そのため名声にあやかろうと様々な業者が真似をしました。その名前が「三之丸」とか「三幸丸」といったもので字体も似せたものでした。有名税と言えばそれまでですが偽物が出回ったのではたまったものではありません。そのため裁判所に訴えたり商標登録を行ったりして守っています。
 三光丸本舗ではそのような興味深い話を伺うことが出来ました。また普段はあまり耳にすることがない薬草を詠み込んだ和歌、和漢薬とはどのようなものかなどを学ぶことが出来る展示となっています。そのためか学校単位での見学が多く、礼状が並んでいます。
 難点は前にも書きましたように交通の便が少し悪いことですが、近鉄吉野線市尾駅十五分もしくはJR和歌山線掖上駅七分です。「大和は国のまほろば」と呼ばれるように古い歴史のある土地柄ですので周りには古墳や神社仏閣なども多く見られます。そのような場所も合わせて拝見されるのも面白いと思います。

                       2014年2月15日記す

松尾 和彦

※2014年2月17日掲載


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