セルロイドカンファレンス2000開催の経緯と意義、今後の計画について

岩井 薫生

本日はセルロイドカンファレンス2000にご参集いただき誠に有難くお礼申し上げます。
セルロイドカンファレンス2000はひとつの偶然がきっかけで実現しました。

その経緯をお話しいたしますと、以前から米国のケース・ラウエル氏とジュリー・ロビンソン嬢がセルロイドコレクターのために役立つ啓蒙図書がないことを痛感し、セルロイドの歴史からはじまり包括的な内容を持つ教育参考図書の出版を計画しておりました。
3年前に同氏を通じて、日本におけるセルロイドの情報及び資料の入手と協力要請が、私の他、プラスチックス関係者の所に参りました。同氏の要請について日本側関係者のご協力により、ラウエル氏に関連資料や情報を提供し、一定の成果をあげることが出来ました。
これがラウエル氏及びロビンソン嬢の監修による図書「Celluloid」として結実しました。

この時に私はセルロイドを調べるための文献や図書の情報データベースやライブラリが整備されていないことや、セルロイド製品については、キューピー等人形や玩具の一部を除いて、製品の組織的収集がなされていないなど、セルロイドについてはいわばブラックホールとなっていることを知りました。
私は系統的及び組織的にセルロイドに関する資料及び文献図書を収集、整理、分類の上保管する機能の確立の必要性を痛切に感じました。

産業史的に見るとセルロイド関連産業は今日のプラスチックス高分子産業の先駆者で、生みの親ともいえますが、産業上は過去の栄光はすぎ去り、忘却の彼方に置き忘れてしまいました。

然しながら、戦前、戦後の早い時期までは我が国の重要輸出産業として数多くの優秀な方々が、人生の一時期をセルロイド産業に携わり、社会にすぐれた貢献を果たしてきました。
このセルロイド産業に関与した方々の貴重な実体験を含めて、その成果ともいうべき製品、材料、学術文献、図書その他貴重な報告及び記録類は産業文化遺産の観点から次世代に引き継ぎ残しておく必要があります。

ことわざに、「古きをたずねて新しきを知る」ともいいますが、今後新しいプラスチックス材料の研究と開発のためにも少なからずセルロイドに関する知見は役立つと思はれます。

私及び関係者がこの共通認識に立ち、活動を継続して参りましたが、偶々セルロイドの発明者ジョン・ハイアット氏の米国特許公告130年が本年にあたり、これを機会にセルロイドに関係した、あるいは関心を持つ方々にお集まりいただき、親しく情報交換し、懇談いたす機会が到来しました。

今後の活動目標としては、次の様に考えています。
  1. セルロイドに関する資料、文献、図書、製品サンプル等を学術的、系統的に収集し、分類しデータバンクを整備する。
  1. セルロイドをキイワードとして産業文化研究調査活動を行う。
  1. 国内、海外のセルロイドに関連する歴史的スポットや施設を調査し出来れば映像に記録し、次世代及び後学の研究者のために保存する。
  1. ホームページを設営し、国内、海外のセルロイド関係者や関心のある方々と交流を計る。
  1. 米国National Plastics Center & Museumと国際交流を行う他、相互訪問と研究分科会を計画する。
  1. 学術文献資料及び収集品をセルロイドライブラリ・メモワールハウスに集約し、関心のある方々の参考と研究調査のために便宜を計る。併せてセルロイド収集品の常設展示を行う。
  1. 「我が国セルロイド産業の栄光と残影」、又は「我が国セルロイド産業の盛衰−栄光とメモワール(仮題)」をまとめ出版する。

今後セルロイドに関心のある個人をベースにセルロイド産業文化研究会として継続的に研究調査及び収集活動を続け、セルロイド産業について恒久的にその記録をとどめ、併せて先人の偉業を次世代に残したいと願う次第です。

本日ここにお集まりいただいた方々のご支援とご協力を深くお願いする次第です。
セルロイドに関与あるいは従事した方々も、既に青春は過ぎ去り、円熟或いは老境にさしかかっておられます。

皆々様のご健康とご長命を祈願すると同時に、次回の2001年開催予定の大阪カンファレンスで再度お目にかかることを楽しみにしております。
ここでセルロイド関係者の諸先輩方にご参考になればと存じ、松下幸之助氏の言葉を掲載させて頂きたいと思います。
青春とは心の若さである。
信念と希望にあふれ勇気にみちて
日に新たな活動をつづけるかぎり
青春は永遠にその人のものである。

【平成12年10月9日報告】

 

 

 

Copyright 2002, Celluloid Library Memoir House